2017年06月15日

三原築城450年記念 隆景公千人茶会 レビュー



平成29年6月11日(日)、三原城一円の10ヶ寺で同時開催される三原大茶の湯の
日を迎えました。構想から2年、三原築城450年に際して、どのようにしたら
県外からも三原に来て頂けるか、皆さんに茶会を楽しんで頂けるかを考え、玉壷会を
結成し、茶会を計画して参りました。
難波幸一会長様ほか、地元の名士の方々のご尽力でこの日を迎えることが出来ました。


小早川家の御当主、小早川隆治様も東京からご参加下さいました。
天満祥典三原市長とご一緒に、10ヶ寺のお茶席を表敬訪問下さいました。
難波幸一会長、寺院担当の上田嘉信氏、事務長檀上博厚氏も同行致しました。




@ 法常寺席 表千家

本会のメイン席である法常寺は、小早川隆景公が亡くなられた時、その死を秘匿して
荼毘に付した菩提寺です。境内には、隆景公の棺を置き法要をした石、そして、
荼毘に付した一角は今、祠が建てられていて、当時を偲ぶことが出来ます。

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三原城絵図と脇差


法常寺待合の床には、築城当時の町割りが描かれた三原城絵図が掛けられ、
前に三原の刀工の脇差が展観されています。隆治様は、大変興味深く拝見され、
本堂のほうでは、愛峰流吟詠(島田俊夫氏)に合わせた藤間流舞(藤間寿代乃氏)
による「吟と舞」が始まりました。今日一日、全お茶席を「吟と舞」が巡って、
全国からお越し頂いたお客様を楽しませて下さいます。


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「吟と舞」御本尊に奉納 法常寺本堂


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法常寺濃茶席の様子


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隆景公書状を拝見される隆治様


お席の床には、小早川隆景公自筆書状が掛けられています。
隆景公が重臣磯兼景道に宛てた、陣替を指示する書状です。本文中には、
「くれぐれも油断なきよう」の言葉を繰り返す、隆景公の陣中における
慎重な姿と、緊迫する戦況の様子が伺えます。




A 順勝寺席 上田宗箇流

順勝寺は薄茶席です。担当は、上田宗箇流。
武家茶の男点前ということでとても清々しい印象のお席です。
訪問時には、ひと席が終わったばかりだったようで、少しの間ですが
お席の設え、お床の軸の事など席主が説明されました。

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B 大善寺席 表千家流

大善寺は薄茶席です。担当は表千家流。
徳川家光の姫、月姫様が三原浅野家に輿入れし、ここ大善寺が菩提所となりました。
三原ではお茶のお寺としても有名です。こちらも、お席の準備中のようでした。
席主様方々、隆治様、市長様とご挨拶を交わしました。覚々斎自作の豪快なお茶碗が、
大好評だったそうです。

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C 浄念寺席 速水流

浄念寺は濃茶席です。担当は速水流。
浄念寺は、明治時代頃、新疆ウイグル自治区の仏教遺跡を旅した渡辺哲信住職の
お寺です。こちらのお席のテーマ「波濤を越えて、南風うるわし」と、重なる
ような気がしました。とても清々しい雰囲気でした。

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D 宗光寺席 速水流

宗光寺は薄茶席です。岡山から懸釜下さいました。
小早川隆景が父母(毛利元就)の為に建立したお寺です。とても重厚な雰囲気の
古刹です。少し高台にあって、かつての三原城を見守るような位置にあります。
お席では、地元岡山の雪舟等楊の水墨画が掛けられました。また色とりどりの速水流の
染め分けの袱紗が十種飾られています。宮中を指南した速水宗達の雅な茶風を
垣間見ることができます。

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E 正法寺席 遠州流

正法寺は薄茶席です。松江から懸釜下さいました。
「綺麗さび」の茶。席主様のお人柄がとても良く出た和やかな雰囲気のお席です。
ちょうどお昼に差し掛かり、お客様も混雑しはじめる時間帯の訪問にもかかわらず、
お客様、席主様も、心暖かく隆治様、市長様を迎えて下さいました。

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正法寺を出たところで、松江城茶会でお世話になっている山陰中央新報の茶会担当の
方々とバッタリ出くわしました。記念に一枚、写真を撮りました。来年松江市は、
松平不昧公200年祭を控えています。
「来年は必ず松江に参りましょう!」と約束を致しました。

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正法寺シャトルバス停前にて

今回は、各会場が離れている為、シャトルバスを2台、西廻り東廻りを運行しました。
写真を撮り逃がしてしまいましたが、随分機能していたように聞きました。
徒歩で三原散歩される方、タクシーで動かれる方、バスを利用される方、
様々だったようです。




F 妙正寺席 裏千家

妙正寺は薄茶席です。坂の上にあるお寺で、少し上り坂が大変だったかも知れませんが、
こちらも浅野家の菩提所で名刹です。お席では、隆景時代に思いを馳せた取り合わせで、
水屋には菓子職人が控えていて、水屋で作って、その都度出来たてを振る舞うという
趣向でした。

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G 善教寺席 表千家流

善教寺は濃茶席。松江から懸釜下さいました。
お席は亭主と縁のある有馬頼底管長御好道具での取り合わせでした。お菓子も
菓子処松江からお持ちになり、地域性豊かなお席となりました。

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H 専福寺席 速水流

専福寺は薄茶席です。速水宗達の師、一燈宗室自作の茶杓を取り合わせられました。
速水流のお話から、小早川家の歴史の話、また三原歴史に至るまで、話題が
豊かでした。席主は、叙勲を受けたばかりで、隆治様から御祝いの言葉もございました。

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I 極楽寺席 裏千家

極楽寺は薄茶席です。こちらも、隆景公の時代を偲ぶ取り合わせです。
お席には住職も出てこられました。三原は毎年2月、ダルマ市が開かれる程に、ダルマで
有名な町です。極楽寺は、ダルマ寺として有名です。

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お席の後、境内にある「青山コレクション達磨記念堂」を住職がご案内下さいました。
コレクションは約7,000体以上、世界の達磨、江戸時代から現代までの様々な達磨が
収蔵されています。

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コレクションをご覧になる小早川隆治様(左)、天満祥典市長(中)




J 点心席へ

最後は点心席です。
点心は、三原名物タコ飯の「隆景公弁当」と、尾道瀬戸内料理「村上水軍弁当」の
ふたつからお好きな方を、選んで頂けるようにしました。どちらも好評でした。

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10ヶ寺すべての訪問が終了致しました。
小早川隆治様、天満祥典市長様はどのお席でも、お客さまとの出会いを大切にされ、
席主様のご苦労を労って下さいました。そのような姿を拝見していると、
小早川隆景公も人々にとても優しいお殿様であったろうと思いました。
「皆さんとお会いできて胸が熱くなりました。」と仰って下さいました。





事務局より

この度のような、10ヶ寺同時開催の大茶会は、茶会事務局を務めて以来、初めての
試みでした。各会場へのアクセスが円滑に進むか、混雑の場合をどうするか、茶券を
求められた方が全ての席にスムーズに入れるかなど、沢山の心配事がありました。
ところが、各席とも非常に順調に進んだそうで、終了後にやっと、少し安堵致しました。


供茶式の時に、米山寺に舞い込んできた勝ち虫、トンボの事を思い出しました。


最後に、ご多忙の所ご参加下さいました小早川隆治様、天満祥典三原市長様、
快く会場を提供下さいました各寺院の住職様方々、玉壷会会長難波幸一様、
茶会運営に尽力下さいました玉壷会役員の皆様、席主様方々、そして、
隆景公千人茶会にご参加下さいましたお客様皆様に、心から感謝申し上げます。



来年は、菩提寺の法常寺で茶会を開催致します。
題して、

「法常寺 隆景公茶会」 と き 平成30年6月10日(日)

この他、三原市での寺院でのお茶会も計画して参りますので、
玉壷会公式サイトも引き続き、宜しくお願い申し上げます。




posted by 玉壷会 at 16:48| 隆景公千人茶会

2017年06月10日

小早川隆景公供茶式と法要 米山寺にて

隆景公千人茶会の前日の平成29年6月10日(土)、小早川家の菩提寺、
米山寺(垣井賢祥住職)にて三原築城450年記念の供茶式と法要が執り
行われました。法要に先立って、天満祥典三原市長より、築城450年に
際して、かつて無い大規模の千人茶会の成功とお祝いの言葉を頂きました。

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米山寺の朝


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ご挨拶される天満祥典三原市長

供茶式と法要

続いて玉壷会会長、難波宗幸氏の代理として中間隆雄氏、島田俊夫氏による
供茶式が執り行われ小早川隆景公の御位牌に供えられました。

供茶式の時、ふと本堂に、一匹の蜻蛉が入ってきました。
蜻蛉は「勝ち虫」として戦国武将に愛された武勇のシンボルです。
なんと縁起の良いことでしょうか。
隆景公が遣わして下さった蜻蛉かも知れません。


供茶式の後、法要の参加者には残茶が振る舞われました。

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供茶式の様子


垣井賢祥住職による講演「小早川隆景公と米山寺の宝物」

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隆景公は戦国歴戦の戦上手でありながら、領民に対して善政を敷いた
名君でもありました。領民の心を安んじるために、阿弥陀如来像と
行道面をつけて村落を練り歩く、練り供養を大切にしたり、三原城
一円にお寺を建立するなど、仏教に深く帰依したお殿様だったという事です。

米山寺には、大変貴重な隆景公寿像(文禄3年・原本)が収蔵されています。
寿像とは、隆景公が生前に描かれた肖像画の事で、ご本人も実際にご覧に
なられた肖像画であり、隆景公の姿を正しく伝えるものです。
賛は、大徳寺黄梅院開山の玉仲和尚によるもので、文禄慶長の役の折に
出陣した隆景公の、碧帝館の戦いの様子が漢詩でしたためられています。
難しい戦となった朝鮮の役で、隆景公は奮迅の働きであったそうです。

また、隆景公書状も収蔵されています。
豊臣秀吉の逆鱗に触れて九州へ流された大徳寺の古渓宗陳(千利休参禅の師)
が、赦免され京都に帰る事が決まった時の文です。
隆景公は、京都にいる千利休と図って、古渓和尚を九州から京都に送り届ける為に
船を用意した事などが記されています。隆景公の数少ない真筆として名高い消息文です。




そして明日6月11日は、待ちに待った隆景公千人茶会です。
席主様方の準備も万端、全国からお越しの皆さまを玉壷会会員一同、
心よりお待ち申し上げます。


posted by 玉壷会 at 19:31| 隆景公千人茶会